薄毛治療薬のミノキシジルは男性だけでなく女性も使うことができます。しかし、副作用の点から男性とは濃度や使用方法は異なるため、女性用の育毛剤が発売されています。ここでは、女性がミノキシジルを使う場合の注意点や薄毛改善に効果的な使用法について解説します。

ミノキシジルが薄毛に効くメカニズム

ミノキシジルとは発毛効果が認められた成分

ミノキシジルは本来、血行をよくすることによって高血圧を改善する薬でしたが、服用者に薄毛の改善効果が表れたことから、男性型脱毛症の改善薬として使われるようになりました。
また、アメリカをはじめ、日本でも正式に発毛効果が認められている成分のひとつであり、AGA治療を行う発毛専門クリニックでは、塗布剤を中心に単独、もしくは男性型脱毛の原因となる、DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑える働きのある内服薬フィナステリド(プロペシア)などと用いられ、高い薄毛治療効果が得られています。

ミノキシジルは日本で唯一、発毛薬として市販もされている成分です。濃度や使用感、対象性別の違いにより、いくつかの製品が発売されています。ミノキシジルに加え、毛細胞の栄養となる成分が追加されているものもあります。

ミノキシジルが効果のある薄毛は男性型脱毛症

抜け毛の原因
ミノキシジルの発毛効果が認められている薄毛は、男性型脱毛症の改善です。
男性型脱毛症(AGA)とは、男性ホルモンの一種ジヒドロテストステロンが原因で起こる脱毛症です。ジヒドロテストステロン(DHT)は、男性ホルモンテストステロンが、5αリアクターゼという酵素と結合して生成されます。ジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞の細胞分裂を抑制してしまうため、髪の毛が成長しなくなるため、髪の毛が薄くなってしまうのです。

男性型脱毛症は男性だけでなく、女性も男性ホルモンの影響によって起こることがあり、FAGAとよばれています。ただし、進行については異なる点があり、男性のAGAでは、頭頂部や生え際の脱毛が目立つタイプの薄毛となりますが、女性の場合は頭頂部を中心に全体的に頭髪が薄くなるびまん性脱毛症の形を取ります。また、男性のようにすべて髪が抜けてしまうというわけではなく、細くなるというのが特徴です。

また、女性の薄毛の場合、ホルモンバランスの乱れや、食生活やストレス、過度のパーマやカラーリングなどの誤ったヘアケアなどが原因となることも多いです。
しかし、これらの原因に思い当たることがなく、髪の毛のコシが弱くなった、細い短い抜け毛が増えた、という場合にはFAGAであるかもしれません。FAGAの場合とホルモンバランスや食生活の乱れなどによる薄毛の場合には、治療法も異なります。頭皮や抜け毛の状態などをよく見極めることが必要で、専門家に相談するのもひとつの方法です。

ミノキシジルは血管拡張作用によって薄毛を改善する

男性型脱毛症の場合、毛根が死んでいるわけではなく、髪の毛が細く短くなってしまうために薄毛が感じられるようになります。2年から6年かけて成長し、その後2~3週間で抜け落ちるという正常なヘアサイクルを迎える前に、十分に髪の毛が育たないまま抜け落ちてしまうのです。また、治療を行わないままでいると、そのまま薄毛が進行してしまうということが男性型脱毛症の特徴です。
ミノキシジルが発毛や育毛に効果を発揮するのは、血管拡張作用によるものです。頭皮の血流がよくなることによって、毛根に発毛や育毛に必要な栄養成分が届くようになります。すると、髪の毛が太く強くなり、抜け毛も減り、徐々に薄毛が改善されます。しかし、ミノキシジルの使用を中止すると、薄毛改善効果はだんだんと無くなってしまいます。根本的に薄毛を改善するものではないということに注意が必要です。

ミノキシジル配合の治療薬は女性も使える

市販および育毛専門クリニックで、女性用として使用できるのはミノキシジル、リアップおよびロゲインなどのミノキシジル配合治療薬です。男性型脱毛症(AGA)の治療薬として知られているミノキシジルは、女性男性型脱毛症(FAGA)にも適用できます。ただし、女性と男性とはホルモン量など生理的に違いがあるため、治療薬の使用方法には違いがあります。

女性がミノキシジルを使用する際の注意点

男性用とは配合濃度が異なる

発毛成分ミノキシジルを配合した育毛剤には、市販ではリアップがありますが、そのほかの商品は個人輸入代行により入手することもできます。しかし、女性の場合は、ミノキシジルの利用できる濃度が異なります。

大正製薬から発売されている女性用リアップの場合、ミノキシジルの濃度は1%、海外で発売されている女性用ロゲインなどは2%で、男性用の最大5%のものよりも低濃度となっています。
FAGA外来で処方される場合にも、2%濃度が限度となっています。これは、臨床試験によって、女性の場合、低濃度でも効果が発揮されることがわかっているからです。また、濃度が濃くなることで、女性の場合はかゆみやかぶれなどの副作用症状が起こる可能性が高くなることも指摘されています。
そのため、配合成分は同一でも、ミノキシジル外用薬は男性用と女性用に区別されています。ポラリスNRなどのミノキシジルが高濃度で配合された製品が男性専用とされているのもこのためです。

女性は塗布のみの適用である

男性の場合、ミノタブとよばれる、ミノキシジルの内服薬の利用が可能で、外用薬と併用されることも多いです。
しかし、ミノタブは女性の場合は副作用の関係から適用外となっています。女性がミノキシジルを内服した場合、副作用が強く出る可能性が高いからです。ミノキシジルは高血圧の治療薬として血圧を下げる目的で用いられていたものです。
したがって、女性はもともと血圧低下が起こりやすいことに加え、多毛症のリスクが増えます。さらに、塗布剤でも十分な効果が得られやすいことから、内服薬は用いられません。ちなみに、内服薬のプロペシアも副作用の点から女性の利用は禁忌となっています。

使い始めの一時的な脱毛は副作用ではない

ミノキシジルを使い始めたばかりのころは、抜け毛が増えたように感じられることもあります。これは育毛剤利用時に起こることの多い現象で、初期脱毛と呼ばれますが、育毛剤による副作用ではありませんので安心してください。
なぜ、初期脱毛が起こるのかというと、育毛剤の使用により、髪の毛を作り出す毛母細胞が活性化されるからです。細胞分裂がさかんになり、作られた髪の毛が成長期に早く入ることで、今生えている髪の毛を押し出して生えようとする働きが起こります。発毛促進されているあらわれですので、そのまま使用を続けていると徐々におさまります。

使用できるかどうか事前に確認を

医師
ミノキシジルは元来血圧に作用する薬です。塗布の場合でも、心臓や血圧に異常があり、病院で治療を受けている場合には主治医に相談してください。妊娠している方の場合は、胎児に移行するため安全性が確認されていないうえ、原因が異なる可能性が高いため、利用できません。妊娠中の脱毛は、ホルモンバランスの変化やストレス、栄養不足などによって起こるからです。

また、ミノキシジルの利用にともない、かゆみやかぶれなどの皮膚症状や頭痛、頻脈があらわれた場合には使用を中止しましょう。ただし、皮膚症状以外の副作用は稀とされています。
ミノキシジルは、FAGA以外が原因の脱毛には、効果がありません。FAGA以外の薄毛対策には、ほかの有効成分が配合された育毛剤を検討しましょう。

ミノキシジル塗布剤の効果を最大限に引き出すには

ミノキシジルは、特に女性の場合、濃度が高ければ効果が高いというわけではありません。正しい使い方で継続することが重要です。
特に皮膚のかゆみなどの副作用が出てしまうと、使用を中止せざるを得ないため、正しい使用方法を守りましょう。ミノキシジルの塗布は、1日2回、朝晩清潔な状態の頭皮に塗布します。髪の毛が濡れていると、薬剤が流れたり薄まったりしてしまいますので、髪の毛が乾いている状態で使います。

また、毛穴に脂分などの汚れが溜まっていると、有効成分の浸透が悪くなります。医薬部外品のスカルプ用のシャンプーやマッサージローションなどの商品を利用して、毛穴を清潔に保つように心がけることも重要です。
ミノキシジルの効果が感じられるのは、抜け毛の減少や髪の毛のコシの変化には1か月程度、発毛効果が実感できるまでには半年程度かかります。